世界の成り立ちやその仕組みについて観察し、思いを巡らせるのが好きで、例えば子供が玩具や手近な物を、その手触りや重さやかたちや機能について堪能したのち、そこから逸脱して新たな景色を立ち上げるような出来事に倣おうと考えています。見えている/在る(と思っている)ものを、視覚的、構造的、機能的な類似性(重なり)を見つけて、異なる在り方にうつしかえ、確認してみるような制作です。
今回の主な出品作品は「重なる箱(overlapping boxes)」のシリーズです。過去には開閉式の箱の内側に世界の模型を入れ込むような作品をつくっていましたが、いくつも箱をつくるうちに、板の厚みこそが世界を司どるものだと思い至り、入れ子の箱について考えるようになりました。
箱(板厚)自体が空間を埋めることと新たに生み出すことの両方を担うかたちとなるように制作を展開しています。言葉やイメージの構造にも似ていると思っています。
ほかに、本を読んでいる時には本自体を見ていない、物語はどこに在るのか?という不思議を問い詰めたくて、本のページを細かく切り刻み、支持体なしに貼りつなげていく「物語の量と在処」のシリーズ。線的な印象の紐を敢えて塊(板)から彫り出す「紐の木彫」などを出品します。
コイズミアヤ aya coizumi
1971 東京生まれ
1994 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業
2009 2009年から新潟県長岡市在住
2023 本の似姿二〇二三 FRAGILE BOOKS Open Day / 東京
2022 かさなりとかたまり 楓画廊/医学町画廊 / 新潟市
2022 うつしかえと結び目のはなし ギャラリー椿・GT2 / 東京
2021 やわらかな座標 ぎゃらりーみつけ展示室 1・2 / 新潟県見附市
2020 組み立て/空間と量について ガレリアポンテ(金沢市)ほか多数
2013 空想の建築-ピラネージから野又穫へ 町田市立国際版画美術館 / 東京
2003 体感する美術 2003 佐倉市立美術館 / 千葉
2001 BOX ART リアス・アーク美術館、新潟市美術館、おかざき世界子ども美術博物館、静岡アートギャラリー、高知県立美術館を巡回